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M&A(Mergers and Acquisition )・企業再編・買収・合併

はじめに。
最近では、M&Aという言葉をよく耳にするようになりました。一般的なイメージとしては、株式を買い取り、敵対的な買収をを思い描く方も多いでしょう。

本来は、友好的・敵対的買収のみならず、資金調達、営業承継、営業譲渡、合併のための法的審査も含まれます。 企業に関する法的な戦略の一切を含むとしても過言では無いでしょう。具体的な形が見えないので、イメージを掴みずらい分野でもあります。

今日では、新しい事業分野に進出する際に新規で立ち上げるより、既に進出して成果を上げてる企業を買収したり、資本参加するケースが多くなっています。

戦略法務の観点から考えれば、このM&Aはとても有効な手段です。新規で立ち上げると利益を生み出すまでに時間が必要であり、場合によっては利益を生まず損失となる可能性をはらんでいます。

既に一定の利益を出してる企業・部門を傘下におさめたり、資金を出資する事により確実に利益確保する事ができます。また、不採算部門のみを切り離したり、プロジェクト毎に資金調達を行ったり、幅広い計画を実行する事が可能となります。

オーナー企業様の身近な問題も解決に導きます。後継者不足による事業承継問題や、今後の成長戦略の道先案内をさせていただきます。
▼ 敵対的買収防衛策の考察 ▼ 具体的な手法 ▼ 結びにかえて

敵対的買収防衛策の考察

敵対的買収防衛策として考えられる主な施策は2つあります。

その者が保有する株式の議決権を制限する策を講じること
その者が保有する株式の比率を相対的に低下させること

一般的な防衛策は、後者(A)の持株比率を低下させる方法を用いることが多いと言えます。ここで用いられるのは、新株発行・新株予約権です。発行する株式の数が全体的に多くなれは、個々の持株比率は下がります。例えば、焼酎の水割りを作った時に濃くなりすぎた場合に、水を加えると濃さが和らぎます。持株比率を低下させることも同じ原理と言えます。

ただし、全体の発行株式数が増えると、全ての株主の比率が下がることになります。これでは、株主の利益保護の観点から好ましくない場合もあります。世間でニュースになるような案件では、しばしばこの株主利益を理由として差し止め請求がなされています。 新株発行・新株予約権の発行には、株主総会の手続きが必要であり(公開会社では取締役会の決定)導入するハードルは高いと言えます。  

株主は平等に取り扱うことが規定されていることから買収者であることだけを理由として、不利に取り扱うことはできません(例外あり)。判例では、「持株比率を低下させるための新株予約権についても平等原則は及ぶとしています。さらに、会社の価値が毀損することを防止するために差別的に扱ったとしても、相当性を欠かないかぎり反しない」(最決平19・8・7)としています。

ただし、「相当性」は、個別に判断することになるので、一律に判断することは困難と言えます。会社の事情や買収者が誰なのかによって異なると考えられます。この決定を適用するには慎重な判断が必要でしょう。

これに対して、議決権制限する方策はメリットがあります。最大のメリットは、裁判所に対して、無効・差し止め請求されない点です。一端導入すれば、無効となることはありません。ただし、デメリットもあります。公開会社においては、発行済み株式の2分の1を超えることはできません。仮に超えた場合には、超えないような方策を行うことが要求さります。このようにプラスの面とマイナスの面があります。非公開会社には、このような制限がないので、かなり有効な方法といえます。

議決権制限株式にも内容によって、大きく2つに分けられます。全く議決権が無い株式・一部に関してのみ議決権を有する株式です。これらの内容は、定款で定めることができます。事前防衛策として有効と言えます。1つのみならず、色々な方策を用いることでそれぞれの良い面を重ね合わせることが可能となります。

スーパー・マジョリティ条項…敵対的な買収を防衛するための手段の1つ。

通常 、会社法の規定では、合併&買収するには、株主総会で3分の2以上の賛成が必要となります。この要件より厳しい条項(例えば、80%の賛成が必要等)を定款に定めることをいいます。

定款の閲覧はだれでも出来るので、予め厳しい要件を規定するだけでも、防衛策として一定の効果を発揮するでしょう。 その他、定款に株式譲渡制限を設けるなど、幾つかの対応策があります。事態が起こってから対応するには、限界があります。事前に一定状況を想定して、準備をするのは有効と考えられます。

(このように事態を想定してマニュアルを作成するこてを、パールハーバー・ファイル[Pearl Harbor Files]と言います。)  
※上記はあくまでも一般的な事項であり、状況に応じて複数の策を講じる必要があります。

具体的な手法

【吸収合併・救済合併】

一般的にM&Aの言葉からイメージするのは、おそらく吸収合併でしょう。負債を多く抱えている場合、先端技術を有してるが、資金面などで上手く展開出来ない等の様々な理由から、他の相手の参加に入る形態です。資産査定を行い、合併比率を算出することになります。場合によっては合併交付金により調整することもあります。

合併するには、株主総会において3分の2以上の賛成が必要となります。この賛成が得られない場合には、合併は認められません。ただし、合併に反対する株主の株式を適正な価格で買取ることができます。 さらに総会で承認されても、公告が必要となり、知れてる債権者に対し、個別の催告も必要です(時事について、電子公告等の方法によることを定款記載すれは、個別催告は免除) 。

法的な手続きは、複雑です。1つ1つの手続きを確実に、かつ的確に進める必要があります。会社法・会社法施行規則(膨大な条文の数です)に沿ったアドバイスを行い、皆様の想いと想いをつなぐ架け橋になるべく全力を尽くします。

【新設合併】

これは、2社以上が合併して新しく会社をスタートさせる法的です。この手法は、業種によっては、関係官庁の許可が必要な場合もあり、事前に調査が必要です。イメージとしては、会社自体がお金を出しあって、新しく会社を作る感じです。

定款の変更が必要になったり、新たに株式を発行したり等手続きが必要となります。株主総会の承認が必要なのは、吸収合併と同じです。いずれにおいても、合併契約書を作るために、細かい交渉・作業が必要となります。 詳細な合意条項の作成、株主総会における手続き等は、体力の限りサポートします。

【資金調達・ファイナンス】

企業が何か大きな動きをする場合には、多額の資金が必要となります。この場合に、如何にして資金調達をするのか大きな悩みであり、企業戦略のターニングポイントです。
金融機関から、直接に資金を借り受ける方法・株式を発行して第三者に引き受けて貰う方法、事案毎に資金調達する方法などです。

株式を発行する場合には、定款変更が必要になったり、発行株式の種類(優先株、種類株式等)などの戦略が必要です。数ある選択肢の中から御社にとって、最善の方法を見極めて、法律に沿って最良のアドバイスを行います。

【買収・防衛】

株式会社であれば、原則として誰でも株式を取得できます。資金調達の際に、株式を発行する方法も多用されます。最終的な意思決戦は、株主総会で行われることから予期しない決定がなされる可能性があります。特に自らが立ち上げて、大きくしたオーナー企業においては、会社は我が子同然と言えるでしょう。

そんな会社を守りたい等の事情があれば、方法はいくつかあります。法律の規定に沿って、しかと対策をすることは可能です。後悔した時には遅いかもしれません。事前の診断・対策が大切と言えるでしょう 。

また、逆に色んな会社と提携して事業を活性化したい等の想いもあるかもしれません。過去の例が示すように、いきなり土足で踏み込んでも上手く運びません。形式的に支配権を手中に入れても、実際に機能するか否かは別問題です。事前の準備が不可欠です。当事務所は、皆様の熱い想いを形にするお手伝いをしたいと真剣に考えています。


結びにかえて

事後的に何らかの防衛策を導入することになれば、手続きの時間を考慮すると、かなり厳しい局面が予想されます。有事を視野に入れて、平時にしっかりと対策を講ずることが最善と言えます。会社の実質的なオーナーたる株主と会社にとって利益になる策を導入することは、今後の会社の成長を促し、さらなる飛躍を遂げるものでしょう。

経営者の保身ではなく、本当の意味で会社を守る防衛策の導入に向けて全力でサポートします。経営に関するご相談は些細なことでもお気軽にお問い合わせください。