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デューデリジェンス

【デューデリジェンスとは】

デューデリジェンス(due diligence)とは、due(当然に行われる、正当な)とdiligence(勤勉、努力)を組み合わせた言葉です。直訳すると、「当然に行われる努力」を意味します。一般的には法的監査・買収監査と訳されています。広義のM&A(合併・買収・会社分割・株式交換・事業譲渡など)を行う場合において、相手方の状況・抱える問題点などを精査して、実際にM&A(合併・買収・会社分割・株式交換・事業譲渡など)を行うか否かを最終的に決定する事前の調査をすることです。人間ドックならぬ、会社ドックと言えます。

通常は、M&Aに際して行われるとイメージされています。昨今は、M&Aのみならず、企業間取引(契約締結・ファイナンス資金調達)を行う場合において、条件を含めた何らかの監査を行う必要性が高まっています。相手方の状況・問題点をしっかり把握し、契約締結(取引)を行うための条件、条項、自己の権利保持のための条項などを盛り込むことが多くあります。あまりに状況が芳しくなく場合は、契約締結(取引)を中止したりする事も当然にあります。

デューデリジェンス(due diligence)は、広義のM&A(合併・買収・会社分割・株式交換・事業譲渡など)に限らず企業における日々の業務遂行において、法的論点を洗い出し、法律上の問題点の有無、契約から生じるマイナス面を監査することにより、事前に回避できるリスクを回避するために必須な行為といえます。デューデリジェンス(due diligence)は、法的な視点なのならず、財務的な視点、人事的な視点などからも行われます。

▼ 具体的な監査事項  ▼ 結びにかえて

具体的な監査事項

デューデリジェンス(due diligence)と言っても監査・検討する範囲は多岐にわたります。広義のM&A(合併・買収・会社分割・株式交換・事業譲渡など)を行う場合か、契約を締結する場合か、などの事情により監査・検討する範囲・質は大きくことなります。実際に、監査する範囲・論点について具体的な考察を行う際のポイントについて幾つか挙げてみます。当然、これらの範囲に限定されるものではありません。

 契約締結
相手方取引先の契約締結状況や契約内容・条項などの細部まで精査する必要があります。具体的には、次の項目について条件・効果をチェックすることが一般的です。
※下記は富山綜合法務事務所がデューデリジェンスを行う場合の項目を抜粋したものです。これ以外の項目についても実施します。

他の詳細な項目はお問合せください。メールフォームはコチラ。

債務不履行事由
契約解除条項
契約期間
表明保証の内容(Representation and Warranties)
その他

特に上記について契約を締結するに際して、内容・効果をチェックすることになります。一度締結された契約は、履行されることが原則です。不履行などの予期しない事態が生じても履行するべきことが前提です。中途解除するにしても、法律上は催告などの手続きを行うことが求められています。催告などの手続きを行っていると権利損失が大きいなどの事情が生じる事態を想定して、何らかの救済事項(一定の事項があると即解除できるなど)を設けることが必要です。

法律上要求されている手続き(一定期間の催告など)であっても、当事者の合意により排除できる場合もあります。いわゆる強行規定については、排除することはできません。法律の規定と自己の利益の確保を考慮しながら、具体的に精査・検討することになります。合意により変更できる場合は、変更による利益確保も必要です。

表明保証(Representation and Warranties)に関しても契約書に記載されることが多くなっています。この表明保証規定は、日本の法律で明文のある規定ではありません。効果・時効との関係など法律的な問題点が多くあります。表明保証を盛り込む場合は、特に慎重な検討が必要です。

⇒契約書の作成・法的監査についての詳細はコチラ

会社組織全体
会社としての設立、定款の内容、内部に関する事項など会社法上の遵守するべき事項についての内容もしっかりと監査します。特に会社法上遵守されるべき事項について遵守されないとすると、無効となる危険性があります。商業登記簿の記載と実際の会社組織との合致の有無など最低限の内容を検討します。具体的なチェックポイントは次のとおりです。
※下記は富山綜合法務事務所がデューデリジェンスを行う場合の項目を抜粋したものです。これ以外の項目についても実施します。
他の詳細な項目はお問合せください。メールフォームはコチラ。

設立の瑕疵の有無調査(期間・設立経過年数)
定款の記載内容(絶対的記載事項の確認・法令違反記載の有無)
議事録の有無(株主総会・取締役会)
株主名簿の有無
株主間契約(shareholders agreement)の内容
その他

会社組織に関するデューデリジェンス(due diligence)においては、議事録の検討が重要となります。特に法律上要求されている決議が行われているか否かは重要です。会社法362条4項各号の行為が行われている場合は、取締役会の決議の有無についてチェックする必要があります。取締役会決議を欠いている場合は効力が否定される可能性があります。

名目的に取締役の名称を使用していても、取締役として登記されていなければ取締役ではありません。この者が勝手に会社を代表しても会社として行為として認められない場合があります。逆に取締役を退任(登記済み)しているのに取締役としての名称を用いている場合も問題となります。もっとも名目取締役としての効果が認められる可能性もあるので、取引状況などを検討する必要もあります。

株主間契約(shareholders agreement)が締結されている場合にも監査・検討が必要です。一般に株主間契約は債権契約としての効力を有します。契約内容に反すると損害賠償を請求されることが多くあります。もっとも拒否事由の設定・定款における記載など個々の状況により異なるので、内容・効果を事前に精査する必要があります。

⇒株主間契約(shareholders agreement)の詳細はコチラ

 ファイナンス側面
企業の財務状況・銀行などからの借入条件についてもしっかり把握する必要があります。特にデッドファイナンス、シンジケートローン、コミットメントラインについては、様々条項(コベナンツ条項)が規定されています。個々の条項の内容・該当性について監査・検討は必須です。
また、企業価値(合併比率)などを算出する際にも財務状況に関する事項は必要となります。貸借対照表(バランスシート)には明らかにならない債務の存在(偶発的債務)の有無もしっかり監査・洗い出しをする事も必須です。具体的なチェックポイントは次のとおりです。
※下記は富山綜合法務事務所がデューデリジェンスを行う場合の項目を抜粋したものです。これ以外の項目についても実施します。
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資金調達の方法
誓約条項(covenant)の内容
情報提供条項の有無
担保制限条項(ネガティブ プレッジ)
資産譲渡制限条項(アセット ディスポーザル)
財務制限条項の内容
クロスデフォルト条項の内容・該当性

資金調達(ストラクチャードファイナンスなど)を行った場合は、相手との関係で様々な契約条項が盛り込まれていることがあります。いずれの場合も契約違反の場合は、全ての返済を行う(クロスデフォルト条項)や損害賠償を請求される場合もあります。他方で、事前に通知を行えば、問題が生じないなどの規定もあります。個々の取引条件について内容・該当性について検討する必要があります。

⇒デッドファイナンスの詳細はコチラ
⇒シンジケートローンの詳細はコチラ
⇒コミットメントラインの詳細はコチラ
⇒ストラクチャードファイナンスの詳細はコチラ

 知的財産
知的財産を保有している場合にも監査・検討が必要となります。特に権利関係の有無、実施権、有効期限については事前にしっかりチェックする必要があります。

権利許諾に関する事項
登録の有無
ライセンス料の適正の有無
チェンジオブコントロール(change of control)条項の有無・該当性
補償に関する事項
紛争可能性の有無

⇒知的財産に関する法的監査に関してはコチラ

結びにかえて

入念なデューデリジェンス(due diligence)を行ったとしても、全ての問題点を明らかにして、これを回避することは困難です予想もしない事項が生じる危険性をすべて捨て切ることはできません。危険を想定して、事態が生じた場合の回避のための策を如何に事前に構築するかがポイントになります。

ビジネスにおいては、スピードが要求されます。デューデリジェンス(due diligence)を行う時間にも制限があります、限られた時間の中で、如何に問題点を発見し回避するために策を提案できるか否かが成功に直結するといっても過言ではありません。

富山綜合法務事務所では、個々の事情に応じて様々な角度からデューデリジェンスを実施しています。詳細なチェックリストを作成し、それぞれの要件・効果について検証しています。リスク回避のためには、十分な検討が必要です。チェックリストの詳細な内容、デューデリジェンス実施のご相談は随時お受けしています。