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NPO法人合併

【NPO法人合併とは】
通常は、合併とは会社などの2つ以上の営利法人が1つの法人になることを意味します。会社法において合併の手続きを規定しています(会社法748条以下)。

NPO法人も他のNPO法人と合併することができます(特定非営利活動促進法、NPO法33条)。この規定により、他の営利法人と同様に合併・買収(M&A)を行うことにより、事業再編が可能となります。

▼ 合併の形態  ▼ 合併手続きの流れ
▼ 合併の効果・効力発生  ▼ 当事務所の関わり(依頼のメリット)

導入(発動)のための要件

合併には、2つの類型があります。これは、NPO法人に限ったことではなくて、会社などの合併においても同様です。

【吸収合併】
吸収合併とは、合併する2つの法人のいずれかが存続して、他方が消滅法人となって解散する合併です。NPO法人AとNPO法人Bが合併する場合に、Aが存続して、Bが消滅する合併形態です。Aは存続法人、Bは消滅法人とよばれます。一般的な合併は、この吸収合併であることがほとんどです。

【新設合併】
新設合併とは、合併する法人の何れも消滅して、全く新しい法人を設立する合併形態です。NPO法人AとNPO法人Bが合併して新しいNPO法人Cを設立することになります。合併前の何れの法人も消滅法人となります。 吸収合併・新設合併の何れの場合でも、消滅するNPO法人は、解散することになります(NPO法31条1項5号)。

合併手続きの流れ

【社員総会決議 】
合併は社員総会の専権事項です。社員総会で社員総数の4分の3以上の多数によって議決する必要があります。定款において別の定めがある場合は、その規定に従います(NPO34条1項、2項)。例えば、合併については、3分の2以上の賛成が必要など。 社員総会の招集通知には、合併事項が目的であることを明記する必要があります。

【所轄庁の認証】
NPO法人の合併には、所轄庁の認証がなければ効力が生じません(NPO34条3項)。この点は、医療法人の合併について都道府県知事の認可が必要とされていることに類似しています。

社員総会で、4分の3以上または定款規定の多数で可決の後に、所轄庁に対して合併認証申請を行います。なお、この合併認証手続きについては、設立認証手続きが準用されています(NPO34条4項、5項)。

【債権者保護手続き】
会社などの営利法人が合併する場合にも、債権者を保護するための手続きが規定されています。NPO法人が合併する場合においても、債権者を保護するための手続きが要求されています。これは、合併により従来の債権債務は、全て合併後のNPO法人に権利承継されることになります。債権者に重大な影響を与えることになるので、権利保護のための手続きです。

所轄庁から合併認証を得た日から2週間以内に、債権者に2ヶ月以上の期間を定め、合併に異議があれば異議を述べることができる旨を公告します。さらに判っている債権者に対しては個別に異議申出ができることを催告する必要があります(NPO35条2項)。

この期間に異議の申出が無い場合は、合併について承認したものとみなされます。 債権者を害するおそれがあれば、弁済したり、担保を提供したり、財産を信託する必要があります(NPO36条2項)。

合併の効果・効力発生

合併により存続するNPO法人は、消滅したNPO法人の権利義務を包括的に承継します(NPO法38条)。すなわち、合併により一切の権利は当然に合併後のNPO法人に承継されます。消滅NPO法人(吸収されるNPO法人)が得た行政当局からの許認可、その他の処分なども含まれます。

ただし、不動産所有権の移転・債権の移転などについて対抗要件を具備しなければ、第三者に対抗(主張)できない種類のものについては、対抗要件具備の手続きが必要となります。不動産については登記、債権については譲渡通知が必要です。

例えば、不動産の所有権については、当然に合併後のNPO法人に移転します。これを他の人に主張するには登記が必要です。すなわち、登記が無ければ、他の人に主張できません。 合併は、合併自体の登記(対抗要件としての登記とは別)により効力が生じます。合併登記をした後には、登記簿謄本を所轄庁に届出を行います。

当事務所の関わり(依頼のメリット)

M&A(合併・買収)は、会社等の営利法人だけを目的とするものではなく、NPO法人においても合併・買収は増えると予想されます。今後の戦略的な見地から、他のNPO法人と合併することは、さらなる相乗効果が生まれる可能性を秘めています。これらのM&Aを行うには、手続き・認証申請などの専門的な知識が不可欠です。

富山綜合法務事務所は、ビジネス法・戦略法務を得意としており、M&A(合併・買収)を進めるたに必要な法的監査(デューデリジェンス)を数多く経験しています。また、行政当局と皆さまを繋ぐ架け橋として、許認可などの申請手続きにも精通しています。 法務のプロとして、行政手続きのプロとして、フルサポート致します。