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名義株の問題

【名義株とは 】

名義株とは、株主名簿上の名義と真の株主が一致しない株式のことです。
例えば、株主名簿ではAさんと記載されていても、実際はBさんが真の株主であれば、名簿上と実際の株主は異なります。このような状態の株式を名義株と言います。

▼ 名義株の発生原因  ▼ 名義株の問題点
▼ 対処の方法  ▼ 当事務所の関わり

名義株の発生原因

平成2年の商法改正前においては、会社を設立するためには最低7人の発起人が必要でした。発起人は1人最低1株を引き受ける必要があった為に、他の人数分の名義を借りることが多くありました。実際は、1人で出資(設立)したとしても残り(最低6人)は名義を借りることが多くありました。
このように最低7人の発起人が必要であった事情で名義株が発生しています。平成2年以前に起業された会社においては、この名義株の問題が発生する可能性があります。なお、現在の会社法においては、発起人は1人でも認められます(1人会社)。現在では、名義株は発生しません。

名義株の問題点

株主として権利行使するには、株主名簿に記載されなければなりません(会社法121条、124条)。すなわち、株主名簿に記載されている者が株主として扱われることになります。株主となった事情については全く考慮されません。例えば、設立の時に名義が必要だったから借りただけなどの個人的な事情は一切考慮されることはありません。先ほどの例で考察すれば、実際の株主はBさんであっても、株主名簿上はAさんが記載されているので、会社に対して権利行使できるのはAさんとなります。

株主名簿上の株主(形式的株主)に相続などが発生すれば、会社は全く関係無い者から権利行使されることになります。名義株の相続人から株主としての権利を行使された場合は拒むことはできません。名義株(形式的株主)であったとしても、会社法上では正当な 株主権の行使となります。株主としての権利行使を拒めば、代表訴訟などの訴訟に発展する可能性が多くあります。名義株を放置すると、後々予想をはるかに超える大きな問題となります。

対処の方法

まず考えられるのは、実際の株主名義に変更することです。すなわち、名義株を真正な株主の名義に変更します。株主名簿に株主として記載されなければ、株主権を主張することができません。そこで、株主名簿の記載を変更すれば、名義株主は、株主としての権利を行使することができません。なにより早急に真正の名義人に名義を変更する必要があります。

株主名簿の名義を変更するとしても、単に書類を書き換えることはできません。名義株の名義人に名義株であることの承諾書を得ておく方法があります。この承諾書を得て、早急に名義を書き換えましょう。あくまでも上記は、名簿上の株主(形式的株主)が承諾している場合においてのみ有効な方法です。これらの名義変更・承諾書を拒否した場合には用いることができません。

名義株の名義人の承諾が得られない場合には、別の方法(強制的な方法)を考察しなければなりません。承諾が得られない場合は、強制的に回収するような方法を選択することになります。強制的な方法を用いても、名義株対策は施す必要があります。

名義株を放置することは、会社乗っ取りの危険性を報知していることを否定できません。このまま名義株を放置すれば、株主として権利を行使され、取締役の解任・合併反対・場合によっては乗っ取りなど、会社を支配される危険性があります。強制的な方法を導入する場合に、一定の時間が必要な事が多くあります。例えば、株主総会を開催するにも一定の期間前に招集通知を発送しなければならない。時間ギリギリとなれば、かなり困難となる事態も想定されます。名義株は一刻も早く対処するべき問題です。

特に名義株主の承諾(念書及び承諾書)が得られない場合は、株主としの権利行使される可能性があります(株主としての権利意識高い)。まず、議決権を制限する(無議決権株式)に変更する、名義株式数を減少させる、一定の現金交付により追い出しを行うなどの手法が考えられます。

当事務所の関わり

富山綜合法務事務所は、会社法務・予防法務を得意としています。会社法務のスペシャリストです。特に名義変更を拒否された場合には、後々のトラブルを回避するために、一定の方策を施す必要があります。議決権を制限したり(権利行使させない)、強制的に取得する準備をしたり、相続人から強制的に回収したりなど会社法に則った手法をご提案致します。
今すぐに対応するべき事項です。放置はかなり危険と言えます。定款診断サービス(会社の健康診断)からも診断できます。まずは、名義株の有無を早期に発見しましょう。